牛の頬肉

フランス料理をご馳走になってきました。

最初にそのお誘いを聞いた時、すぐさま私の脳裏をかすめたのがドレスコードでした。

もともとフランス料理というのはフランス王国の宮廷料理だった献立の総称です。

それが徐々に受け継がれて今では来日した国外からのVIPをもてなす際の正餐として採用されている由緒正しい料理です。

ですから、当然厳しいドレスコードがあってしかるべきなのですが、今回はまったくカジュアルでいいとのことでしたのでホッとしました。

着いた先は住宅街の一角にある「千代田」というフランス料理とはかけ離れた名前でしたが、中に入ると洒落た感じの雰囲気の良さそうなお店でした。

まずは前菜に定番の「エスカルゴ(カタツムリ)」を頼みました。

もう一品と思いメニューを見ると、これでもフランス料理なのかと思うような「鰹のタタキ中華風(?)」というのがありましたのでネーミングに惹かれ頼んでみることにしました。

ところが、これが大当たり!

分厚い鰹のタタキと中華風のドレッシングがマッチして白ワインにぴったりの味でした。

続いて、メインディッシュの「和牛頬肉の赤ワイン煮」を今度は赤ワインと共に頂きました。

牛の頬というのは豚と違ってそれほど肉付きがいいとは思えないんですが、結構ふっくらと柔らかく、まるで上品な煮込みのような味でした。

それにしても、人間の食に対する欲求というのはキリがないものですね?

顔の先から尻尾まで、牛1頭丸ごと食べてしまうんですから。

帰りがけには、シェフが出てきて我々を見送ってくれました。

フランス料理店とはいえ堅苦しさは一切なく気楽にフレンチを楽しむことが出来ました。