マニラ旅行 part-12 「真夏の昼の夢」

Aちゃんとポーズ!!
Aちゃんとポーズ!!

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さて、今日もジムでの朝練を済ませ朝食を取り終えると夜まで何もすることがなくなってしまいました。

となると、取るべき行動はただ一つプールに行くしかありません。

ところがですね、最初の23日目は笑顔で迎えてくれていたプールのスタッフの顔付きが微妙に変化してきているのですよ!

そりゃそうでしょう!

毎日朝早くから夕暮れまで判で押したようにプールサイドでビールを飲んではうたた寝を繰り返している日本人のオッサンを見れば誰でも多少の興味や不審感を抱くのは当然のことです。

この日もそんな調子で横になっていると、プールガードのAちゃんが話しかけてきました。

Aちゃん:「Good Morning! Mr.○○! 今朝の調子は如何ですか?」

:   「最高ですよ!」

Aちゃん:「何か飲み物かフルーツをお持ちしましょうか?」

  私:  「いえ、結構です。」

Aちゃん:「ところで、Mr.○○!あなたは仕事でマニラに来たのですか?

  私:  「そうですよ!」

Aちゃん:「どんな仕事をされているのですか?

  私:  「私は小説家です。今回は取材でマニラに来ました。あなた方には寝ているように見えるかも知れませんが、実は頭の中では色々構想を練っているところなんですよ。」  

Aちゃん:「どんな内容なのですか? よろしかったら教えていただけませんか?」

  私: 「よろしい!あなただけに特別に教えてあげましょう。『バブルの絶頂期に大儲けした青年実業家の妻が家庭を顧みない夫に愛想を尽かしていずれへともなく姿を消してしまいました。

最愛の妻を失った実業家は失意の日々を送りました。

そして、10数年後、仕事で訪れたマニラの街角で別れた妻そっくりの女性に出会います。

せめて一言交わそうと彼女を追いかけますが、彼女の周りには黒服を着た屈強のガードマンが立ちはだかっていて近づくことが出来ません。

それもその筈、元妻は今ではマダム楊(ヤン)と呼ばれマニラの麻薬シンジケートを操る冷酷な女ボスに変身していたのです。

何とかもう一度よりを戻したい実業家と黒一色のドレスに身を固め闇社会に君臨する女ボス』この二人の心の葛藤を巧みな描写で綴る壮大なラブロマンス・・・・。」

その時、突然生ぬるいものが顔にかかり、ハッと目が覚めてしまいました。

サイドテーブルに置いておいたビールを寝ぼけて倒してしまったのです。

夢だったのですね! 

夢でなければ、これほどの複雑な文章をスムースに喋れるわけがありませんものね?

でも、夢の中では確かに会話として成立していたんですが・・・・。

そんな夢を見ているとは露とも知らず、プールの向こう側からAちゃんが笑顔を浮かべながら手を振ってくれました。